◆「どうしてこんなに覚えが悪いんだろう…」
お子さんに勉強を教えていて、ふと「うちの子、なんでこんなに覚えが悪いの?」と感じたことはありませんか?
お友達の◯◯くんや●●ちゃんは、もうこんなことまでできているのに、うちの子は全然…。
そんなふうに比較してしまって落ち込むのは、実は私自身も経験していることです。どんなに熱心に教えても覚えが悪く、焦る気持ちからつい声を荒らげてしまったり。せめてもと思って先取り学習をさせているけれど、実感としてはなかなか身についている感じがしない。
そんな不安の渦の中で、「このままで大丈夫なのかな?」と悩み続けていたとき、たまたま知ったのが“チェスとトーマンの気質分類”という考え方でした。
◆子どもには“気質”という個性がある
チェスとトーマンという心理学者は、子どもの行動傾向や反応の仕方に注目し、子どもを大きく3つのタイプ(+分類しきれない子)に分ける理論を提唱しました。
チェスとトーマンの3タイプ
タイプ | 特徴 |
---|---|
易しい子(Easy child) | 適応力が高く、機嫌もよく、教えたことがスムーズに入る |
難しい子(Difficult child) | 感情の起伏が激しく、こだわりが強く、適応に時間がかかる |
ゆっくり慣れる子(Slow-to-warm-up child) | 慎重で、人や物事に慣れるまでに時間がかかるが、慣れれば安定する |
私が抱えていた「教えても覚えない」「やってくれない」といった悩みは、実はこの“気質の違い”が原因だったのかもしれないと気づいたのです。
◆タイプの見分け方のヒント
「うちの子はどのタイプ?」と迷う方のために、以下に見分けの参考になるポイントをまとめました。
観点 | 易しい子 | 難しい子 | ゆっくり慣れる子 |
---|---|---|---|
初めてのことへの反応 | 積極的に挑戦 | 強く拒否したり怒る | 戸惑いながらも様子を見る |
感情の起伏 | 安定している | 激しく変わりやすい | 表に出しにくいが内に抱えがち |
集団行動 | すぐに馴染む | トラブルになりやすい | 最初は距離を置きがちだが徐々に慣れる |
親や先生の指示 | 素直に聞ける | 抵抗したり無視したりする | 一旦止まって考えることが多い |
上記の特徴に「うちの子、これっぽいかも」と思い当たるものがあれば、その気質を参考にして関わり方を見直してみると、ぐっと楽になるかもしれません。
◆比較して焦るより、タイプを知ることが大切
先にできるようになる子=頭がいい子、というわけではありません。もしかしたら◯◯くんや●●ちゃんは「易しい子」タイプなのかもしれません。新しいことにすぐ慣れ、親や先生の指示も素直に聞けるタイプ。だから早く成果が見えやすいんです。
このタイプは、いわば“早熟型”。小学生の頃には「神童」と言われても、大人になる頃には周囲と差がなくなっていたり、やがて「普通の人」になっていくことも少なくありません。
一方、うちの子は「ゆっくり慣れる子」タイプ。
慎重で、一つひとつのことに時間がかかる。でも、じっくり取り組んだことはしっかり定着し、深い理解につながるタイプなんです。
決して知能が劣っているわけでも、教え方が悪いわけでもなく、単にタイプが違うだけだったんですね。
◆タイプによって、学び方の相性がある
たとえば「ゆっくり慣れる子」は、学習の先取りよりも、今やっていることを丁寧に復習する方が効果的です。一度にたくさん詰め込むより、少しずつ反復しながら理解を深める方が合っているんです。
また「難しい子」は、得意不得意がはっきりしているタイプ。苦手なことばかりやらせても意欲が出ません。逆に、得意なことや興味のあることに取り組ませると、驚くような集中力を発揮したり、才能が一気に花開いたりします。
◆まとめ:その子の“らしさ”に合わせた学び方を
子どもが覚えが悪いと感じたとき、つい「どうしてできないの?」と思ってしまうのは自然なこと。でも、もしかしたらその子は「ゆっくり慣れる子」や「難しい子」なのかもしれません。
今できないことが、未来もできないとは限りません。タイプに合った学び方をしていけば、いずれ「易しい子」タイプの子どもを追い抜くことだってあるんです。
焦らず、比べず、その子の“らしさ”に合わせた育て方を。親の目にしか映らない、その子の可能性を信じてあげましょう。
コメント